火災におけるドアコントロールPART2

ドアコン2

このページでは、火災におけるドアコントロールPART2を記していきます。

PART1を見ていない方は、こちらのページをご覧ください

PART1では、ドアの開放する基準や閉める基準を記していました。

ほとんどの場合は、閉める方向で屋内進入を行うというものです。

しかし、屋内進入ばかりが消防戦術ではありませんので、そのドアを閉めた状態でも屋内進入をせずに、消火を行う方法と理論をこのページでは説明していきます。

空気流入が少ない部屋の火災の進展

火災

まず、空気流入が少ない一室(ほぼ密閉された状態)での火災の進展(耐火建築物が多い)では、燃焼が継続すると、室内の温度は当たり前ですが、上がります。

それと同時に、室内の温度が上がれば、空気の体積は膨張し、室内の圧力も上がっていきます。

その後、燃焼を続き空気の流入(酸素)が少なければ、燃焼の3原則(今は4原則もあるかも)が崩れるので、燃焼が弱まります。

(これは燃焼上限界と下限界の間に入っていない状態であり、燃えていないけど、燃えるほどのエネルギーは存在しているということです。)

この状態は、空気が足りていない状態なので、燃焼が弱まっています。この時、温度上昇とともに比例して上がっていた圧力は少し上昇率が弱まります。

この状態でドアを開放すると、室内での足りなかった空気が急激に流入し、大きな爆発を起こします。これがバックドラフトです。

このバックドラフトを防ぐには、ドアの開放が重要になるのは、大体分かります。ただ、バックドラフトが発生するかどうかははっきり分かりませんし、室内の空気の状態も現場到着時に把握するのは、困難です。

空気の状態を確認するために、ドアを開放し、把握する方法もありますが、その際に空気の流入を助長させてしまっては元も子もありません。

ドア開放と放水

開放

このページで記すドアコントロールは、空気の流入を助長させずに、内部の室温を下げようというものです。

方法はとても簡単です。

ドアを少し開けて(筒先が入るほどの隙間)から筒先だけを入れて放水します。

これはどうなるのかというと、ドアの開放を少しにすることで、空気の急激な流入を防ぎ、その隙間から放水することにより、室内の温度を下げることができます。

室内の温度を下げると、空気の圧力が下がり、煙の外気放出量が弱まります。その状態を確認できれば、燃焼に対する空気の希薄状態が薄まり、バックドラフトを未然に防げるというものです。

なぜ、ドアを少し開放するのか。

空気の流入が少ない室内においては、室内の大きさ(体積量)に対する、ドアの開放面積の条件があります。

これは、大きな室内では、大きなドアを開放しなければ、バックドラフトは発生しませんし、小さな室内では、少しの開放においてもバックドラフトは発生する可能性はあります。

要は、室内の大きさにおよそ比例してドアの開放面積から空気の流入量とバックドラフトの発生率が変化するということです。

火災時においては、燃えている室内の大きさなどははっきりいって分かりません。

なので、室内の体積量を小さいと仮定してドアの開放を少しだけにして、空気の流入を最小限に行おうということです。

放水するとどうなる

室内の状態は、圧力が上昇している状態もしくは、空気を欲している状態と仮定します。

その際に、ドアを少しだけ開放することにより、空気の流入を最小限に抑えることができます。

その状態で室内に放水すると、もちろんですが、室内の温度は下がります。

温度下がると、空気の体積量膨張に対する圧力の増加が抑えられます。

その状態になると燃焼物に対する空気の必要量が下がってきます。

この状態になれば、室内における必要空気量が抑えられます。

要は、必要空気量を冷却によって少なくするということが、これの目的なのです。

この状態になれば、バックドラフトの発生率を下げることもできますし、屋内の状態をもう一度確認することができます。

これがドアの少しの開放で放水を行うドアコントロールPART2です。

注意点

注意

ドアの開放は筒先が少しだけ(入る程度)行うこと

空気の流入が少ない耐火建築物に有効であること

放水を行う際、訓練を行う際は、意識しながら行ってみましょう。

人に説明するときも、内部の状態を論理的に説明できるようになれば、理解も深まりますね。

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