クアドラフォグノズルの効果効力

クアドラフォグノズルの効果を知ることで、最大のメリットが分かり、現場活動における必要な技術が理解できます。

どのような理論で効果を最大限に生かすことができるのか。どのような効力を得られるのか。このページではイラストで分かりやすく記しています。

順序立てて見ることによって、理解が進みます。この機会に深く理解しておきましょう。

クアドラの取り扱いに関して、まだ読んでない方はこちらのページをご覧ください。

クアドラフォグノズルの効果

①水を細かく分解できること

分解することによる効果が一番だと考えられます。火を直接消火という概念よりも煙や可燃性ガスなどの燃焼生成物の粒子に当てることで大きな効果が得られます。

②風を起こせること

が挙げられます。これらのことによる効果を説明していきます。

①水を細かく分解できる

クアドラ

水を細かく分解することで期待できる効果は、熱成層を崩さず(視界を今よりも悪化させない)、室内温度を下げることができる。

屋内進入時に、煙や可燃性ガスで視界を失われているとき、または、室内温度が高いとき、この二つを取り除いてから進入したいものです。

クアドラフォグノズルは水を細かく分解し、放水することによって、温度の高い燃焼生成物(煙や可燃性ガス)に当てることにより、空間冷却で室内温度を下げることができます。

燃焼生成物はあくまでも、温度の高い気体や細かい粒子という認識ですので、水を細かい粒子に分解することにより、空間的に冷却が可能になるということです。

空間的に冷却することは隊員が弊害なく屋内進入できます。

また、現時点の視界を崩さないようにする効果もあるため、非常に有効な手段です。

しかし、簡単ではありません。

例えば放水量が多ければ、その分、可燃性ガスから水蒸気に変化量が多くなり、熱成層が崩れ、視界が悪くなる可能性もあります。視界が悪くなれば、それを回復させることはできませんので、一発勝負でもあります。

また、放水量が多すぎると他にも危険があります。

冷却効果のために温度を下げたはずが、多すぎた水が蒸発した水蒸気量が多くなることにより(水は100℃を超えると体積量約1700倍になる)、隊員に付着する温度の高い水蒸気の体積が多くなり、やけどの原因となります。

なので、屋内進入前の放水というのはかなり重要な技術です。

例えば、屋内進入前の室内の状況を表しましょう。出火点の隣の部屋まで可燃性ガス及び煙が充満している状態です。

クアドラ1

タービンを回す噴霧注水

クアドラ2

効果的な放水のため、クアドラフォグノズルでレバーを何度も操作し、数回に分けて少ない放水を繰り返し、中の状況を確認しながら進入するのが一番良いです。

水分量が多すぎると、水蒸気の量が多くなり、余計に視界を悪化させ、水蒸気が隊員に付着し、火傷の可能性もあります。

少なすぎれば、もう一度注水し、中の温度、視界状況を確認しながら進入すれば問題ありません。

ドアコントロール

クアドラ3

扉を閉めてドアで空気の流入をコントロールすることで、可燃性ガスの拡大を防ぎます。また、この際のドアを閉める基準についてはこのページを見てください。

ストレートで直接消火

クアドラ4

視界が良好及び室内温度が下がれば、出火点まで進入し、ストレート注水で直接消火にあたります。(ストレート注水は周囲の風を巻き込まないため、熱成層を崩さない)

ストレート注水の注意点も、水量を多くしすぎないということです。

これらは、屋内進入時に行う動作なので、煙の中においても(視界が悪い状態)間違いのない放水をする必要があるため、クアドラフォグノズルをどれくらいの圧力で筒先先端をどのくらい回すとどの程度噴霧状態を表現できるかを訓練で感覚を知っておかなければなりません。

要はホースの摩擦損失及び背圧損失の理解と、クアドラフォグの先端をどの程度回すと、タービンティースが回るのかを、目隠しした状態で出来るようにならなければならないということです。

屋内進入時の放水ミスは、自分の命及び隊員の命を落としかねません。

なので、的確な放水角度で一発でタービンティースが回る訓練を繰り返しておきましょう。

②風を起こせること

風を起こせると聞くと、火に風を浴びせると拡大するのではないかと考えるかもしてません。

しかし、そうではありません。

あくまでも、これは、煙を外に放出するためのベンチレーションの一種と考えて頂ければ大丈夫です。

クアドラフォグノズルは風を起こす放水をすることによって、室内の煙を任意の方向へ放出することが可能です。

室内の煙が消えることにより、視界が良好になり、火点を確認でき、直接注水で迅速な消火が可能となります。

回す

しかし、留意点が一つあります。

それは、必ずタービンティースを回すことです。

タービン

タービンティースを回すことによって、風の発生量が全く異なります。

タービンティースを回すことで、筒先周辺の空気を吸い込み、放水先まで風を送り込むことができます。

これを活用することによって、水流ベンチレーションというものが可能となり、室内の視界が良好となり、屋内進入時の活動が円滑に進みます。

この方法により、煙の排気及び吸気による操作が可能となり、延焼防止活動や屋内進入時における活動に役立つことでしょう。

水流ベンチレーションというと、少しカッコよく聞こえますし、後輩に説明するときもドヤ顔で言えます。

以上になります。クアドラフォグノズルの操作方法での一番重要なところはタービンティースを回すかどうかになります。この操作を感覚で覚えていると全く放水効果が変わってきますので、是非、試してみてください。

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