消防ポンプの仕組み

消防ポンプ

このページは、消防ポンプ車でよく使われている多段バランスタービンポンプと高圧一段ボリュートポンプの違いについて説明していきます。

この違いを知ることにより、機関員として、長期にわたる活動においても、安全に使用することができます。

数十時間の活動時におけるポンプ負担は、並みではありません。どこの部分に、どんな理由によってポンプ負担が発生するのかを知ることで、ポンプ車の活用が変わります。

ポンプ装置について理解していきましょう。

ポンプの種類

ポンプ

多段バランスタービンポンプ

多段バランスタービンポンプは、従来のポンプ車でよく使われています。

多段というのは、羽根車が二つ以上あるもので、一度羽根車によって加圧された水をもう一回別の羽根車に送り加圧することで、より高圧な圧力を送ることができます。

バランスタービンポンプは、羽根車の周囲にある案内羽根が存在し、その周囲に外箱というものがあります。

案内羽根は、羽根車によって運ばれた水がもう一度逆流しないように、水を正しい道へと運ぶ案内道と認識してもらえれば分かりやすいです。

高圧一段ボリュートポンプ

高圧一段は、先ほどの考えと逆です。羽根車が一つだけす。

ボリュートポンプは、バランスタービンポンプに存在していた案内羽根がないものです。

つまり、多段バランスタービンポンプとの違いは、羽根車が一つしかなく、案内羽根も存在しないということです。

違うことで知っておくこと

違い

この二つのポンプの違いを羅列します。

1 体積:高圧一段ボリュートポンプの方が小さい

2 重量:高圧一段ボリュートポンプの方が軽い

3 等級:A-2級やA-1級などのポンプ級別がありますが、同級のポンプも存在します。

何が違うのか

上述した1・2を見れば、高圧一段ボリュートポンプの方が体積が小さく、重量も軽いということでメリットが大きそうです。

体積及び重量小さければ、その分、他の資機材を載せることができますね。

しかし、一つだけ理解しておく必要があることは、ポンプ級が同等であるということです。

なぜ高圧一段ボリュートポンプは羽根車が一つしかないのに、多段バランスタービンポンプと同級を合格しているのか。

これは、回転数が関係しています。

そもそも、ポンプ級別はA-2級の場合0.85MPaの圧力を掛けた場合、2㎥/min以上の流量を求めています。

これは、圧力に対する流量を求めているもので、ポンプにこれだけの圧力負担が掛かっても、耐えられるポンプである必要があるという規格です。

高圧一段ボリュートポンプでは、回転数を上げることにより、規格を合格しています。かつ、ポンプ負担が大きい羽根車はそれに耐えうる素材を使用しているということです。

なので、P.T.O.を押した場合の二つのポンプ回転数は約1.8倍ほど違います

だから何?

回転数が多くても、規格合格してたら問題ないよね?

もちろんそうです。

ただ機関員として覚えておくべきは、ポンプ負担を考えておくことです。

例えば、数十時間の放水を継続する工場火災があった場合のポンプ負担は計り知れません。その際に大きく左右するのは、回転数です。

回転数が少なければポンプ負担は小さいですし、多ければポンプ負担は大きいです。

確かに、メーカーが故障の可能性は低いと言ってしまえば、そのとおりかもしれませんが(そのために主軸にメカニカルシールを活用しているところも)、考えられる可能性は列挙しておくべきですね。

なので、数十時間のポンプ運用が考えられる現場での機関員が考慮するべきところは、放水停止時には、回転数を下げて待機することです。

回転数を下げて待機することにより、ポンプ負担を軽減することが可能です。筒先員が放水しているときは無理ですが、放水を停止しているときは、筒先員との連携を考慮しつつ、機関員は回転数を下げて待機するように、ポンプ負担の軽減に活用しましょう。

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