理論的に火災を知る③(着火)

火災とは

ここからは火災成長の過程について記していきます。

このページから見た方は、火災とは①(火の性質及び燃焼)から確認してください。

最後のページまで見れば、火災の見方、燃焼の過程を感覚ではなく、論理で分かるようになります。

このページでは、成長過程の一番最初、着火について説明していきます。着火にも色んな種類と着火物による、熱伝達率が変わってきます。

火災現場到着時には着火段階はすでに終わっている場合が多いですが、成長過程の初期なので、知っておいても損はありませんね。

この機会に理解しておきましょう。

着火の過程

着火

着火は、火災成長の一番の始まりの部分です。

着火には、引火と自然発火が存在します。

引火

引火と聞くと危険物をイメージしやすいですが、危険物の引火点は温度が低いので、多用される場合が多いというだけで、木材などの個体物質にも引火という言葉は使われます。

引火の始まりというのは、液体温度が上昇が関係し、液体表面が蒸発を始めます。この液体表面の濃度が液体下限界に達すると引火することが可能となります。

引火は、予混合燃料(例:空気中に灯油が気化している状態の範囲)による燃焼の始まりで、小さな火花でも熱が伝わる燃焼濃度の位置づけです。つまり燃焼下限界です。詳しくは火災とは①

その中で沸点という概念がありますが、これは、液体表面の蒸発した濃度が100%に達したことをいいます。100%というのは、これ以上他の成分が入ることのないことを言います。

自然発火

自然発火の着火は、人為的に口火がなくても発生します。

燃料は、特定の濃度範囲にあり、化学反応に必要なエネルギーが必要で液体燃料が混ざり合った空気中の気体からの熱を上回らなければなりません。

自然発火温度は引火温度よりも高く、この自然発火温度の着火温度は、液体と固体の表面温度のことをいいます。

火災条件下

実際の火災では、引火の温度による着火する場合が多くあります。

火から離れたものを加熱した場合でも、燃料が温度を上げて着火します。

さらに炎の先が空気の流入で方向が変われば、炎の先の燃料温度を上げて着火にも至ります。これらはすべて引火によるもので着火しています。

着火しやすい個体

着火

着火しやすい個体の大きさは、当たり前ですが、薄い物体より分厚い物体の方が着火しにくいです。

当たり前すぎますね。

ここの関係性は、物体の厚さ、密度、比熱、熱伝導率が関係します。

紙(厚さ1mm)と鉄(厚さ10mm)では、着火しやすいのは紙だと容易に予想がつきます。

紙(厚さ10mm)と鉄(厚さ10mm)において、厚さが同じでも着火しやすいのは紙だと予想はつきます。これは、密度が高いのが鉄なので、厚さが同じでも着火しにくいことが分かります。

これは、厚さが同じでも鉄の方が密度が高いことが挙げられます。この厚さ・密度・比熱・熱伝導率の相互関係によって、物体による着火経過時間に相違があるといえるのですね。

着火については、ここまでにしておきます。どれだけ論理的に説明しようが当たり前の話ししかありませんので。。

火災の最初は着火は覚えるというより、分かるという域だと思います。

次のページから火災の成長段階、火炎の伝わり方(火炎伝播:かえんでんぱ)について見ていきましょう。

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