理論的に火災を知る①(火の性質及び燃焼)

このページは火の性質及び燃焼について、難しい用語を使わず、簡略化して記していきます。

火災に関する性質から成長過程を5ページに分けて、論理的に説明していきます。これらをすべて見ることにより、現場における火災の段階を理解することができます。

それは、現場到着時における危険な箇所を見る目が付き、活動における優先順位が付けやすくなります。

もちろんすべてを理解せずとも、部分的にも把握することで活動での最良な判断が出来るでしょう。

燃焼または火というのは、エネルギー(発熱・発光・発動などの動力の総称)の放出を伴う化学反応( 一種、または二種以上の物質が反応し、もとと異なる種類の物質を生み出す変化 )です。

ほとんどの燃料は、炭素、水素、酸素から構成されますが、燃料がプラスチック性の場合は、窒素や塩素、フッ素が含まれます。

火が化学反応と定義されるには、エネルギーの放出量によって判断されています。その放出量は1000kW/㎥です。

なんの数字かというと、1秒で水を1℃温めるのに必要なエネルギー量と考えてもらえれば良いです。

火の4要素は有名な話しです。

燃料、酸化剤、熱、連鎖(化学反応)

これら一つが失われれば火は消えます。

また、火は4つの異なる形態があります。

  1. 拡散火炎
  2. 燻燃(くんしょう)
  3. 自然燃焼
  4. 予混合火炎

ここからこれら形態について、分かりやすく簡単に説明していきます。

拡散火炎

拡散火炎

拡散火炎とは、燃料ガスと酸素が濃度差において、火炎のないところから燃焼や酸素が運ばれてくる燃焼を続ける火炎を言います。

少し、意味分かりませんね。

要は、火の回りの酸素をどんどん吸収して、燃焼を続ける現象のことです。

酸素

ろうそくや火のついたマッチ、建物火災、森林火災がこれにあたります。

これらの火の中心は酸素濃度が低いです。そして当たり前ですが、火のないところは酸素濃度が高い(21%)です。その酸素濃度の差において、高いところから低いところに常に移動するので、火は常に酸素を供給し、燃焼を継続します。

これが拡散火炎といいます。

熱分解

このとき、木製のマッチの場合、火炎の熱で、木が気体燃料(二酸化炭素や一酸化炭素)と炭に分解されますね。これが熱分解といいます。

熱を与えることによって、物質の性質自体変えることを指します。

乱流拡散火炎

高さ1フィート(約30.48cm)を超える火炎は必ず、煙と炎の中に目に見えるが発生します。

これが、乱流拡散火炎と定義されます。

重力により、拡散火炎は形状に大きな影響を及ぼし、火は、高温を生み出し、ガスが軽くなれば、浮力によって上昇します。

そして、炎や煙が1フィートの高さに到達すれば、流れが不安定になり、乱気流が発生するという仕組みです。

よくタバコの煙である現象ですが、ある程度の高さになれば、煙の形が渦を巻いたりして変わることがあります。あれは、1フィートの高さになれば発生することが分かっています。

また、高圧ガスでの火源が非常に強い燃焼では、上昇速度が速くなり、この 浮力 効果が無視され、火炎が大きなもの(噴流火炎)へと拡大します。

火炎の強い建物火災はこれに該当します。

燻燃(くんしょう)

燻燃

燻燃は、酸素と固形燃料の間で起こる比較的ゆっくりとして燃焼です。

たばこや布製のソファなどで白い煙だけが上昇し、静かに燃えているものありますね。あれです。

たばこ

表面は炭化し、温度は1000℃以上になります。

そこに空気の流入が増加すれば、炎が発生します。

燻燃の流れはとてもゆっくりとしているので、多くの空気を必要とせず、固形燃料の表面に沿って、燃焼を継続します。

燃えた固形燃料の質量の10%以上はCO(一酸化炭素)に変換されます。

自然燃焼

自然燃焼

自然燃焼は、空気中の燃料が徐々に酸化(酸素と化合)するところから始まる燃焼を言います。

物質変化(酸素から炭など)は比較的遅いため、燃料により、炎の上昇や速度が決まる場合が多いです。

最初の酸化から何時間から何日間掛かることもあり、周囲の環境条件が揃わなければ自然燃焼は発生しないものです。

予混合火炎

予混合火炎

予混合火炎は、火が付く現象と、伝わる現象の前に燃料ガスにと空気により既に道筋が予め混合されている燃焼をいいます。

要は、空気中に燃料ガスが充満していて、そこに火を着けたら炎となり拡がる状態のことです。

密閉空間でのガスが充満しているときに、着火すると、爆発し、衝撃波が生まれます。

着火後、燃料と空気が混合し、火炎が伝わると約0.1~0.5m/sの速度で火炎が伝わります。

その中で、拡散火炎での乱気流が発生すると、火炎の速度も増して、上昇速度が速くなるということです。

燃焼濃度

火炎の伝わる現象には、燃焼上限界濃度と燃焼下限界濃度があります。

簡単にいうと、燃焼という(炎が見える状態)が発生するためには、燃料の濃度範囲があるということです。

例えば灯油で温度が低ければ火は尽きません。しかし、40℃の状態で火を着ければ炎となります。これが燃焼下限界濃度であり、引火点と呼ばれています。

つまり、燃焼上限界濃度と燃焼下限界濃度には、濃度量と範囲、温度が関係してきます。

燃焼

これらの範囲であるときに予混合火炎は起こります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。火の性質と燃焼について、細分していきました。火炎の状況には、一つずつ原理と現象があり、それぞれの燃焼過程が違うことが分かっていただければと思います。

次回は、そこから伝熱(熱が伝わる現象)を記しています。

これらをすべて理解することで、火災に対する見方、理論が分かりますので、自分なりの簡略化した解釈を持っておくと今後の活動において、非常に役に立つでしょう。

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