CAFSは、水と比べて体積量を増やせることができると説明しました。
では、なぜ、水が通るポンプ室とホースの内積量は変わらないのに、CAFSの空気を入れることによって、体積量が変わるのでしょうか。
CAFSの基本構造の原理を知ることで、どういった燃焼物に対して効果的か、どのような火災性状でメリットとなる放水ができるのかが分かります。
かなりメリットが多い装置ですが、すべての火災に対して良いというわけでもないかもしれません。
原理を知って効果的な放水のため、そこのところ見ていきましょう。
圧縮性物質と非圧縮性物質
液体、個体、気体には、圧縮性物質と非圧縮性物質が存在します。
圧縮性物質というのは、外部からの圧力により体積そのものが圧縮され小さくなる物質のことをいいます。
非圧縮性物質は全くの逆のことで、外部からの圧力を受けても体積そのものが全く変化しない(変化しにくい)物質を言います。
この圧縮性や非圧縮性物質というのは、「圧力」という言葉をよく使う消防では、理解しておく必要のある名称です。
では水と空気は?
水と空気
もうご存じかもしれませんが、水は非圧縮性物質で空気が圧縮性物質です。
水
外部からどれだけ圧力を加えようと、圧縮されず、体積量は変わりません。厳密には、少しだけ小さくなりますが、巨大な圧力を与えなければなりません。
もう一つは温度を与えると形状が変わります。温めすぎると水蒸気になり、冷やしすぎると氷になります。
また、水は圧力によっても沸騰する温度が変わります。圧力、温度は相互関係にあります。
しかし、ほとんど圧縮されないため、非圧縮性物質として分類されています。
空気
空気はCAFSにあるとおり、圧縮されます。そらそうですよね、圧縮性空気泡って書いてますから。
空気は外部からの圧力を掛けられれば掛けられるほど、圧縮されていき、体積量が収縮されます。
外部の力によって物の形が変わってしまうということです。
そのかわり、外部からの圧力を掛けた空気は収縮されますが、その分内部にかかる圧力が上がります。これが内圧というやつです。空気ボンベの中の圧力のことを言います。
だから何?
ですね。ここから大事です。
ポンプ室及びホースの中で起こっていること
ポンプ室とホースの内積量は変わりません。水だけの放水では300Lにも関わらず、CAFS5倍にすると泡流量が1800Lになるのはどういった現象でしょうか。何の数字かはこのページ
どういうことかというと、放泡するときに1800Lの流量を達成出来なくてはなりません。しかし、ポンプ室とホースの内積量は変わらないので、空気を圧縮し、強力な圧力を外部から掛けて詰め込みに詰め込んでいます。
そのために圧縮されているんです。
水と空気のみを圧縮したところで、分離したものが圧縮されようが、なんの効果も得られません。
そこで、薬液を混ぜることで、水と空気で泡を生成し、効果的に合体するので薬液を混ぜています。
そして、筒先から放出されたときに、気圧状態と同じ無圧となり、一気に体積量が膨張するという仕組みです。
水を圧縮してやればいいんじゃないのか?
という声もあるかもしれませんが、水は非圧縮性物質なので、それは、出来ません。
圧縮性物質で、筒先から放出した瞬間に体積が膨張する、無害な物質ということで空気が選択されています。
CAFSの仕組み
つまり、空気を圧縮することにより、ポンプ室に詰め込み、詰め込まれた空気が筒先から出る瞬間が1800Lということになります。
つまり、この1800Lというのは実測値ではなく、理論値(計算して算出した値)となります。
体積が5倍になる圧力を与えることで、それだけ収縮され、筒先からこれだけの量が放出されるというわけです。
これが、少ない水で効果的な放水ができる答えです。
またまた、だからなに?
ですが、筒先から出た泡は放出されることで、一気に体積が大きくなります。
これは、ほとんどが空気であるため、水のように放物線を描くことなく上空で浮かんだ状態の泡も存在するということです。
つまり、CAFSでの放水で重要なことは、燃焼物に直接当てて放水するというこことです。
かかし注水で外部から放物線を描く放水がありますが、あれは、可燃性ガス(気体)に放水しているため、全くの意味を成しません。※可燃性ガス(気体)に泡(ほぼ気体)で放水は効果がない
CAFSでの放泡するときは、燃焼物に直接放水できる部署位置が重要になってきます。
放水と違って流れ落ちるということもありません。表面張力をなくす薬液とともに、物質に密着し、大きな体積で大きな面積に付着されることが、CAFSの効果を一番に得られます。
ちなみに、表示盤にある混合圧というのは、消防ポンプの圧力と圧縮した空気の内圧を合わさった圧です。実際の放水圧は混合圧が正式な表記となります。
この圧力が与えることによって、物質が変形するというのは、空気だけでなく、煙の上昇理由にもよりますので、その点を次のページで説明していきます。