CAFS(圧縮空気泡消火装置)の効力とメリット

CAFS

CAFSは水消火とどう違うのか。CAFSの倍率計算の算出方法。

このページはCAFSの放水流量に深堀り、説明していきます。

CAFSと水の大きな違い

CAFSと水は大きく何が違うのか。という話になりますが、二つ言えます。

①消火方法

水は冷却消火ですが、CAFSは窒息消火です。薬液を混ぜることで、燃焼物への水の浸透率が上がり、泡を生成することで、燃焼物が空気と触れないようにし、消火に至ります。

②放水流量

水の放水流量と比べて、CAFSは数倍にできます。メリットとしては、少ない水で体積を膨張できるという面です。

CAFS(圧縮空気泡消火装置)の性質

消防車

CAFSというのは、ポンプ室でフォーム(洗剤みたいなイメージ)と水との混合液に圧縮した空気を合わせることで完成するものです。

混合液でも十分消火効率はあります。

水には表面張力があり、消火用の水を掛けても70%の水が表面張力などの影響で損失する(消火を発揮することなく流れ落ちる)といわれています。

混合液は表面張力を無くすことができます。なので、それを火や燃焼物に掛けることで燃焼物に染み込んでくれることで、消火効率が上がります。

混合液の濃度は、0.1%~1.0%まで指定することができます。実験結果によると、0.5%が一番表面張力の効果を奪い、消火効率が上がるといわれています。

しかし、0.3%でも消火効率はさほど変わらないともありますので、薬液が勿体ないので、0.3%で使っても問題ないでしょう。

この数字は、水量に対する割合なので、1000L放水すれば、薬液は3L含まれるということです。

では、なぜ、このままでも十分なのに、圧縮した空気を混ぜるのでしょうか。その部分を説明していきます。

まずは、CAFSとは

CAFSとは

消火方法は主に窒息消火になります。混合液の中に空気を入れることにより、を生成します。その泡を燃焼物に混合液の性質である表面張力を無くし、炎が空気との接触を遮断し、窒息消火が主な消火方法となります。

もちろん、冷却消火も可能です。

放水方法については、WETとDRYという分類に分けられますが、違いは、空気を入れることによる体積量の変化が変わります。

CAFSは体積量を増やすことができるのがメリットの一つです。

メーカーにも寄りますが、5倍から10倍であれば、WETに分類され、15倍から20倍がDRYに分類されます。

例えば、5倍であれば、1分間の水だけの放水量が300L、フォームが0.3%の場合、300×5=1500Lの空気を混合液に混ぜます。

したがって、泡が出る体積量は水300L+空気1500Lが足され、1800Lの泡流量となります。

通常の水放水であれば、1分間300Lの放水量のはずが、CAFSを使うことによって、1800Lの体積量に膨張することができ、泡流量として放泡することができます。

だた体積が膨張するということであり、水300Lのよる消火効率と、CAFS1800Lによる消火効率は違います

あくまでも1800Lの中の1500Lは空気である認識を置きましょう。

倍率空気泡流量
5200L1000L1200L
5300L1500L1800L
20100L2000L2100L
20150L3000L3150L
1分間の放水量

CAFSの消火効率が格段に上げるのは、燃焼物に直接放泡し付着させることです。そうすることで、炎と空気を遮断することで、窒息消火につながります。

空間冷却などの放水方法である、可燃性ガスに噴霧注水する方法とは全く別物として理解しておきましょう。

CAFSの放水流量

放水流量について、少し、説明しましたが、もう少し深くいきます。

先ほど説明した、泡流量1800Lは理論値として、それだけ放泡流量が発生するということです。

もともとの放水量が300Lに対して、CAFSを使うことによって、1800Lの流量が発生すれば、大きな体積量となるので、燃焼物にあたりやすいと考えるのは確かな理由です。

では、1800Lとは?

ここを深堀していきます。

1800Lの単位計算は1.8㎥と同じ体積量です。

それは三乗根1.8m× 三乗根1.8 m× 三乗根1.8 mです。

ちょっと分かりにくいんで小数点に直すと

約1.2m×約1.2m×約1.2mの立方体の大きさだということです。

結構大きいですよね。でもちょっと分かりにくいので、CAFSは燃焼物に直接当てることが一番の効果があると記しました。なので、分かりやすく面積量で考えていきます。

例えば、燃焼物に対して高さ5cmの厚さの泡で消火できると仮定します。

その他の余りの容積を横と縦に分散すると34.56㎡の平面に放泡することができます。

イメージ
体積を変換(イメージ)

当初水の量は300Lでした。仮に300Lですと高さ5cmの場合でも6㎡にしか放水できません。この時点5倍以上の放水容積の差があることが確認できます。

これがCAFSの大きなメリットです。少ない水で消火できるというより、普段の水量から容積を数倍にすることで燃焼物に当たる面積を増やしているというのが正しい言い方です。

最後にもう一度言いますが、体積量が増えることがCAFSのメリットであり、それに比例して消火効率が上がるとは限りません

CAFSは燃焼物に直接当てる放水方法として、体積量を膨張させているため、有効な放水方法です。しかし、水のような空間冷却はできません

CAFSを最大限に生かす現場は効力を考えなくてはなりません。その現場に生かした活動をしていきましょう。

そもそも、なぜポンプ室及びホースの外径や容積量は変わらないのに、それだけ増やすことができるのかを知りたい方は次のページをご覧ください。

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